
- Sing This All Together
- Citadel
- In Another Land
- 2000 Man
- Sing This All Together (See What Happens)
- She’s A Rainbow
- The Lantern
- Gomper
- 2000 Light Years From Home
- On With The Show
Released: 8 December 1967
Producer: The Rolling Stones
Additional Musicians:
Ian Stewart – Organ
Nicky Hopkins – Piano, Organ, Harpsichord
John Lennon & Paul McCartney – Backing Vocals
Eddie Kramer – Claves
John Paul Jones – String Arrangement
1967年12月にリリースされた、ストーンズのディスコグラフィーにおいて極めて実験的なアプローチが施されたアルバム『Their Satanic Majesties Request』。本作は、ミックとキースがドラッグ容疑で逮捕・裁判にかけられるという激動の状況の中でレコーディングが進められました。長年バンドを支えたアンドリュー・オールダムが現場を離れたため、ストーンズ自身が初めてプロデューサーとしてクレジットされています。
前作以上にR&RやR&Bの曲調が影を潜め、トータル・アルバムとしての性格を強く打ち出した本作は、ビートルズの『Sgt. Pepper’s』への回答(アンサー)としても捉えられることが多い作品です。ニッキー・ホプキンスの流麗な鍵盤楽器や、初のビルによる自作曲の採用など、当時のバンドを取り巻く環境と実験精神が刻まれた全10曲を解説します。
迷宮のサイケデリック・ワールド!
- Sing This All Together – アルバムの幕開けを飾る、ブラスや多彩なパーカッションを導入したナンバー。バックコーラスには、ビートルズのジョン・レノンとポール・マッカートニーも参加したと伝えられています。
- Citadel – タイトルは「城塞」を意味し、キースによる硬質でザラついた歪んだギターリフが全編を牽引するロックトラック。ブライアン・ジョーンズが奏でるメロトロンの浮遊感のある音色が特徴的です。
- In Another Land – ストーンズの歴史において初めて公式に採用された、ビルが作詞・作曲・リードボーカルを務めた楽曲。ニッキー・ホプキンスによるハープシコードの繊細な響きと、ビルのボーカルに施されたトレモロ・エフェクトが夢幻的な効果を生んでいます。
- 2000 Man – 西暦2000年の未来に生きる男の孤独やアイロニーを歌った楽曲。キースのアコースティックギターのストロークから始まり、中盤からチャーリーのタイトなドラムとともにダイナミックなロックへとシフトする展開を持っています。
- Sing This All Together (See What Happens) – 1曲目のテーマを引き継ぎ、各種の民族楽器や効果音(SE)を交えて展開される、8分近くに及ぶ即興的なフリー・ジャムセッション。
- She’s A Rainbow – ストーンズのポップな側面が美しく結実した名曲。ニッキー・ホプキンスの可憐なピアノのフレーズを中心に、当時まだ無名だったジョン・ポール・ジョーンズ(のちのレッド・ツェッペリン)が手がけた壮麗なストリングス・アレンジが楽曲を彩ります。
- The Lantern – キースのアコースティック・ギターに、ブライアン・ジョーンズが吹く管楽器、そしてブラスセクションが重なるダークな哀愁を帯びたナンバー。
- Gomper – 各種の民族楽器やパーカッションが多層的に飛び交う、東洋的な響きを持ったナンバー。後半は長大なインストパートへと移行しますが、前半にはミックによる歌唱パートもしっかりと存在します。
- 2000 Light Years From Home – 宇宙空間での孤独をテーマにした、初期ストーンズ屈指の重厚なスペース・ロック。ブライアンが操るメロトロンの不気味なストリングス風のフレーズと、キースの切り裂くようなギターが、独自の緊迫感を演出しています。
- On With The Show – キャバレーや古いダンスホールの喧騒、グラスが触れ合うSEなどを大胆に取り入れた、ミュージックホール風のポップソング。ミックが司会者のようになりきって語りかけ、アルバムの幕を賑やかに閉じます。
| 💡『Sgt. Pepper’s』への回答と、互いのジャケットに隠された「秘密のメッセージ」 本作は、1967年6月にビートルズが発表した『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』に対する、ストーンズからの「回答(アンサー)」として語られることの多いアルバムです。 ジャケットに隠された4人の顔 オリジナル盤のジャケットには、見る角度によって絵柄が変わる「3Dレンチキュラー」という特殊な加工が施されていました。魔法使いのような衣装をまとったストーンズの5人の周囲をよく見ると、実はビートルズの4人(ジョン、ポール、ジョージ、リンゴ)の顔写真がひっそりとコラージュされて埋め込まれていることが分かります。 両バンドの交流の記録 これは、先に発売されたビートルズの『Sgt. Pepper’s』のジャケット内に「WELCOME THE ROLLING STONES」と書かれた人形が置かれていたことに対する、ストーンズ側からの粋なお返し(アンサー)でした。「Sing This All Together」のコーラスにジョンとポールが参加したと伝えられている点も含め、当時の2大バンドが互いに刺激し合い、リスペクトを送り合っていた事実を今に伝える貴重な仕掛けとなっています。 |
| 💡 崩壊の序曲とセルフプロデュースの限界 本作の制作期間は、メンバーの逮捕や裁判、そしてマネージャーであるアンドリュー・オールダムの離脱などが重なり、バンドにとって極めて不安定な時期に行われました。 バンド内の録音状況 この時期のレコーディングは非常に断続的に進められ、メンバー全員がスタジオに揃わないことも多く、それぞれが別々に録音を重ねる場面も少なくありませんでした。こうした混乱や個々の精神的ストレスが、結果としてアルバム全体の自由奔放で実験性に富んだサウンドへと繋がっていったとも言えます。 サウンドを見つめ直す契機に 後年、ミックやキースは本作について「やり過ぎだった」と振り返ることもありますが、このサイケデリックなアプローチを極限まで突き詰めた経験は、「自分たちが本当に目指すサウンドを見つめ直す契機」となりました。この直後、バンドは無駄な飾りをすべて削ぎ落とし、原点である骨太なブルースや泥臭いロックンロールへと大回帰した名曲「Jumpin’ Jack Flash」、そして傑作『Beggars Banquet』を誕生させ、ロック史に輝く黄金期へと突き進んでいくことになるのです。 |
50th Anniversary Special Edition
オリジナル発売から50年を迎えた2017年、ボブ・ラドウィッグが手がけたステレオおよびモノ・ヴァージョンの最新リマスターをそれぞれ2枚組 LP盤、およびハイブリッドSA-CD盤で収録した『Their Satanic Majesties Request: 50Th Anniversary Special Edition』が発売されました。内容は以下の通りです。なお、CDは2ハイブリッドSA-CD(7インチ・サイズ仕様)単体でも発売されました。
- 3Dレンチキュラー付特殊折りたたみジャケット(12インチ・サイズ)
- モノ・アルバムとステレオ・アルバムが180グラムLPとハイブリッドSA-CDに収録
- ボブ・ラドウィッグによる最新リマスタリング
- 貴重な写真やエッセイが掲載された20ページのオール・カラー・ブックレット付
- ナンバリング入