
- (Get Your Kicks On) Route 66
- I Just Want To Make Love To You
- Honest I Do
- Mona (I Need You Baby)
- Now I’ve Got A Witness (Like Uncle Phil And Uncle Gene)
- Little By Little
- I’m A King Bee
- Carol
- Tell Me (You’re Coming Back)
- Can I Get A Witness
- You Can Make It If You Try
- Walking The Dog
Released: 17 April 1964
Producer: Andrew Loog Oldham, Eric Easton
Additional Musicians:
Gene Pitney – Piano
Phil Spector – Percussion, Maracas
Ian Stewart – Organ, Piano
1962年の結成から今日に至るまで、ロック史を代表する存在であり続けるザ・ローリング・ストーンズ。彼らの果てしない歴史の原点であり、すべての始まりとなったのが、この1964年リリースの英国デビューアルバム『The Rolling Stones』です。
本作では、ブライアンがスライドギターやハーモニカ、リズムギターなど曲ごとに自在に役割を変え、その卓越した音楽性を存分に発揮しています。当時のストーンズの音楽的中心人物が彼だったことを実感できる一枚です。
一見すると「カバー曲ばかりの初期作品」という印象を持つかもしれません。しかし、当時の全英チャートでビートルズのモンスターアルバム『With the Beatles』を首位から引きずり下ろし、12週連続1位を記録するという大快挙を成し遂げた伝説の一枚です。
当時のイギリスではまだ貴重だったアメリカのブルースやR&Bに熱狂したロンドンの若者たちが、その衝動とエネルギーをそのままスタジオで爆発させた、ストーンズの生々しい原点がここにあります。
彼らの音楽的ルーツが詰め込まれた英国盤の魅力を、アメリカ(US)盤との決定的な違いやカバー原曲のバックグラウンド、そして熱気あふれるレコーディングの舞台裏とともに掘り下げていきます。
1. 英国盤(UK)と米国盤(US)の決定的な違い
ストーンズの初期ディスコグラフィーを語る上で避けて通れないのが、英国(UK)盤と米国(US)盤の仕様の違いです。本作は「英国盤」の構成となっています。
- ジャケットのデザインとタイトル
- 英国盤:タイトルはシンプルに『The Rolling Stones』。初代マネージャーのアンドリュー・オールダムの「彼らの顔を見れば名前なんて書かなくてもわかる」という大胆なアイデアにより、ジャケット表にはバンド名すら記載されませんでした。「音楽だけで勝負する」というオールダムの自信と戦略が、このアルバムのジャケットにも表れています。
- 米国盤:アメリカではまだ知名度が低かったため、ジャケットに大きくバンド名が入り、タイトルも『England’s Newest Hit Makers(イングランズ・ニューエスト・ヒットメーカーズ)』へと変更されました。
- 収録曲のチェンジ(最大の違い)
英国盤の4曲目に収録されているボ・ディドリーのカバー「Mona (I Need You Baby)」は、米国盤ではカットされています。アメリカでは代わりに、当時大ヒットしていたシングル曲「Not Fade Away」(バディ・ホリーのカバー)がアルバムの1曲目に差し替えられました。そのため、「Mona」をアルバムの流れで聴けることが、英国盤ならではの大きな魅力と言えます。
2. メンバーのルーツがわかる!全収録曲解説
アルバム全12曲のカバーとオリジナル曲の背景を解説します。
- (Get Your Kicks On) Route 66 – ボビー・トゥループ作のスタンダードをストーンズ流にロックンロール化。
- I Just Want To Make Love To You – マディ・ウォーターズのブルースを荒々しいR&Bナンバーに。
- Honest I Do – ジミー・リードのシャッフル曲。
- Mona (I Need You Baby) – ボ・ディドリーのジャングル・ビートを再現。
- Now I’ve Got A Witness – バンド全員の演奏によるインストジャム。
- Little By Little – フィル・スペクターとの共作としてクレジットされたR&Bナンバー。
- I’m A King Bee – スリム・ハーポをカバーしたブルース。
- Carol – チャック・ベリーのカバー。
- Tell Me (You’re Coming Back) – ジャガー/リチャーズ作のオリジナル・バラード。
- Can I Get A Witness – ホーランド=ドジャー=ホーランド作のマーヴィン・ゲイのヒット曲をカバー。
- You Can Make It If You Try – ジーン・アリソンのゴスペル調バラード。
- Walking The Dog – ルーファス・トーマスの軽快なソウルナンバー。
3. レコーディングの舞台裏:エッグカートンのスタジオと豪華ゲスト
この歴史的デビュー作は、ロンドンのリージェント・サウンド・スタジオで録音されました。予算の都合上、防音壁代わりに卵のパック(エッグカートン)が貼られていたという有名なエピソードがあります。この粗悪な環境が、逆に生々しい熱気とラウドな歪みを生み出しました。
また、本作にはアメリカの歌手ジーン・ピットニーがピアノで、さらにプロデューサーのフィル・スペクターがパーカッションで参加。彼らがスタジオに遊びに来た際に録音に参加したという、初期ならではの自由で熱い空気が刻まれています。