December’s Children (And Everybody’s)

December's Children (And Everybody's)
  1. She Said Yeah
  2. Talking About You
  3. You Better Move On
  4. Look What You’ve Done
  5. The Singer Not the Song
  6. Route 66 (Live)
  7. Get off of My Cloud
  8. I’m Free
  9. As Tears Go By
  10. Gotta Get Away
  11. Blue Turns to Grey
  12. I’m Movin’ On (Live)

Released: 3 December 1965
Producer: Andrew Loog Oldham

Additional Musician:
Ian Stewart – Piano

1965年12月にリリースされた、アメリカにおける5枚目のアルバム『December’s Children (And Everybody’s)』。

本作は、英国ツアーのライブEP音源、ロンドン録音、チェス・スタジオ録音、そしてハリウッドのRCAスタジオでの最新セッションなど、異なる時期・場所の貴重なテイクをアメリカ市場向けに高密度にパッキングしたUS盤独自の編集盤です。

全英・全米1位を記録した「Get Off Of My Cloud」をはじめ、ジャガー/リチャーズのメロディメーカーとしての才能を世に知らしめたバラードなど、初期ストーンズの熱量と進化の歴史が凝縮された全12曲を解説します。

異なるスタジオの熱気が交錯する!全収録曲解説

  • She Said Yeah – 英国盤『Out Of Our Heads』のオープニングを飾ったラリー・ウィリアムズのカバー。わずか1分30秒強の中に初期衝動をぶちまけた、今聴いてもあまりにパンキッシュな爆走R&Bトラック。
  • Talking About You – チャック・ベリーのナンバー。キースの荒々しくドライブするギターリフと、イアン・スチュワートのハネるピアノが完璧なコンビネーションを見せるロックンロール。
  • You Better Move On – アーサー・アレキサンダーのカバー。1963年11月にロンドンで録音された、英国ファーストEPの表題曲。初期のストーンズが持つ、繊細でマイルドなポップ・カントリーの一面が楽しめる貴重な初期テイク。
  • Look What You’ve Done – マディ・ウォーターズのブルース・ナンバーを、シカゴの聖地チェス・スタジオで録音したトラック。ミックのディープなハープと、イアン・スチュワートの無骨なピアノが絶品な本格派ブルース。
  • The Singer Not The Song – ジャガー/リチャーズ作のオリジナル。大ヒットシングル「Get Off Of My Cloud」のB面曲で、甘酸っぱいフォーク・ポップのメロディと美しいアコギのコーラスワークが光る隠れた佳曲。
  • Route 66 (Live) – 1965年3月の英国ツアー(ライブEP『Got Live If You Want It!』)からの熱狂の音源。当時のティーンエージャーの凄まじい絶叫を切り裂くような、バンドの一体感溢れるパンキッシュな名演。
  • Get Off Of My Cloud – ロック史にその名を刻む、全英・全米1位を獲得した世界的メガヒットシングル。チャーリーの強烈なドラムイントロから始まる、若者の「俺の邪魔をするな!」という苛立ちを代弁した初期ストーンズの象徴的な1曲。
  • I’m Free – ジャガー/リチャーズ作。当時の「スウィンギング・ロンドン」の空気をそのままパッケージしたような、アコースティックギターをフィーチャーした軽快でポップなストーンズ流フォークロック。
  • As Tears Go By – ミック、キース、そしてマネージャーのアンドリューが共作し、元々はマリアンヌ・フェイスフルに提供して大ヒットした名バラード。マイク・リーンダー編曲のストリングス(弦楽器)を大胆にバックに配し、アコギに乗せてミックが寂しげに歌う、ストーンズが初めて本格的な「ポップ・バラード」に挑戦し全米6位を記録した最重要トラック。
  • Gotta Get Away – ジャガー/リチャーズ作。恋に破れた未練をミックがセンチメンタルに歌うオリジナル曲で、のちの『Aftermath』へと繋がるソングライティングの進化を感じさせるアコースティックなナンバー。
  • Blue Turns To Grey – ジャガー/リチャーズ作のオリジナル曲。後にクリフ・リチャードらにもカバーされた、初期ストーンズ特有のマイナー調で哀愁溢れるメロディラインとポップセンスが絶妙に融合したファンに人気の高い1曲。
  • I’m Movin’ On (Live) – カントリーの定番曲ハンク・スノウのカバーで、こちらも1965年の英国ライブ音源。ブライアン・ジョーンズの激しいスライドギターが全編でうねりを上げ、アルバムのラストを圧倒的なダイナミズムで締めくくります。
💡 アメリカ市場のための「寄せ集め」が生んだ奇跡のタイムカプセル

本作はイギリス本国ではリリースされず、アメリカのレコード会社(ロンドン・レコード)が現地市場の需要を満たすために独自に編集したUS盤5作目のアルバムです。

3つの録音時期とライブ音源の交錯
アルバムの構成は、1963年の初期ロンドン録音から、1964年のシカゴ・チェス・スタジオ、1965年のハリウッド・RCAスタジオでの最新セッション、さらには英国ツアーの貴重なライブ音源までがゴチャ混ぜに詰め込まれています。一見すると統一感のない「寄せ集め」ですが、だからこそ、彼らが「無名のR&Bカバーバンド」から「世界を揺るがすトップスター」へと駆け上がった約2年間の凄まじい成長スピードが一枚で体験できる、タイムカプセルのような贅沢な作品になっています。

なぜアメリカだけで発売されたのか?
1960年代のストーンズは、イギリスではデッカ、アメリカではロンドン・レコードという別々の会社から作品が発売されていました。当時のアメリカでは「ヒット曲を収録したアルバム」が求められたため、ロンドン・レコードは英国盤とは異なる独自編集のアルバムを次々と制作しました。

『December’s Children』もその一枚ですが、結果として1963年から1965年までのストーンズの成長を一枚で追体験できる、ユニークな編集盤になっています。