
- Sympathy For The Devil
- No Expectations
- Dear Doctor
- Parachute Woman
- Jigsaw Puzzle
- Street Fighting Man
- Prodigal Son
- Stray Cat Blues
- Factory Girl
- Salt Of The Earth
Released: 6 December 1968
Producer: Jimmy Miller
Additional Musicians:
Nicky Hopkins – Piano, Mellotron, Farfisa organ
Rocky Dzidzornu – Congas, Cowbell
Ric Grech – Fiddle
Dave Mason – Shehnai, Drums
Michael Cooper, Marianne Faithfull, Anita Pallenberg – Backing vocals
Watts Street Gospel Choir – Backing vocals
1968年12月にリリースされ、バンドが再びその原点であるブルースやルーツ・ミュージックへと大回帰を果たした歴史的名盤『Beggars Banquet』。本作は、のちに黄金期のストーンズの頭脳となる名プロデューサー、ジミー・ミラーを初めて迎えて制作された記念すべきアルバムです。前年のサイケデリックな実験を経て、再びブルースやルーツ・ミュージックを軸に据えたサウンドへと回帰し、、アコースティックギターのドライな響き、泥臭いスライドギター、そしてアーシーなリズムが高密度にブレンドされています。
発売当時、その過激なジャケットデザインを巡ってレコード会社との激しい衝突が起きたことでも知られる、ロック史の至宝たる全10曲を解説します。
骨太なルーツ・ミュージックへの回帰
- Sympathy For The Devil(悪魔を憐れむ歌) – アフリカ由来の呪術的なサンバ・ビートに乗り、ミックが歴史上の悪行を「悪魔」の視点から冷徹に歌い上げる、ロック史に輝くオープニングトラック。(※録音の裏話は後述のコラムにて)
- No Expectations – ブライアンが奏でる、美しくも哀愁に満ちたアコースティック・スライドギターが全編を支配するスロー・ブルース。ブライアンがストーンズの楽曲に多大な貢献を残した、最後の輝きとも評される名演です。
- Dear Doctor – 1920年代のアメリカ南部を思わせる、ユーモアと気怠さが同居したカントリー・ブルース風味のナンバー。ミックによる田舎者になりきったようなボーカルと、キースのアコギ、ハーモニカが絶妙な調和を見せています。
- Parachute Woman – これぞストーンズと言える、ズッシリとした重い12小節ブルース。カセットテープレコーダーでアコギを録音して歪ませるという当時の画期的な実験が行われており、ローファイで太い独自のギターサウンドが堪能できます。
- Jigsaw Puzzle – ボブ・ディラン風の字余りな歌詞とフォーク・ロック調の構成を持った、6分を超える大作。ニッキー・ホプキンスのピアノと、ブライアンが弾く不穏なメロトロンが楽曲のスケール感を大きく広げています。
- Street Fighting Man – 1968年に世界各地で起こった学生運動や社会不安に触発されて作られた、ストーンズ屈指のポリティカルな(政治的メッセージ性の高い)名曲。(※サウンドの秘密は後述のコラムにて)
- Prodigal Son(放蕩息子) – アメリカのブルースマン、ロバート・ウィルキンズ(Rev. Robert Wilkins)が1929年に発表したブルース曲のカバー。キースのアコースティック・フィンガーピッキングが極めて冴え渡る、原点への強いリスペクトに満ちたトラック。
- Stray Cat Blues – 後のハードロックにも通じる、極めてヘビーで退廃的なリフが牽引する名ブルースロック。ニッキー・ホプキンスのエッジの効いたピアノと、ミックの攻撃的で危険なボーカルがバンドの牙を剥き出しにしています。
- Factory Girl – フィドル(リック・グレッチが演奏)やマンドリン、タブラなどの民族楽器を取り入れた、アイリッシュ・フォーク調の素朴なナンバー。工場で働く女性への讃歌が歌われています。
- Salt Of The Earth(地の塩) – 労働者階級や名もなき大衆へ向けて、乾杯と祈りを捧げるように歌われる、アルバムの最後を締めくくる壮大なフォーク・ロック・バラード。冒頭の1番をキースが歌い、途中からミックへとスイッチする展開、そして後半から加わる「ワッツ・ストリート・ゴスペル・クワイア」の圧倒的な合唱が感動的な余韻を残します。
| 💡 ジミー・ミラーの魔法 1曲目の「Sympathy For The Devil」は、当初ミックがスタジオに持ち込んだ段階では、ボブ・ディラン風のシンプルなアコースティック・フォーク調の楽曲でした。これをロック史に残る傑作へと化けさせたのが、新プロデューサーのジミー・ミラーのアイデアです。彼はこの曲にアフリカ系の呪術的なリズムを導入することを提案。ロッキー・ディジドゥー(Rocky Dzidzornu)によるコンガやカウベルを全面にフィーチャーしたサンバを思わせるラテンなビートのアレンジに変更させました。さらに録音中、スタジオにいたマリアンヌ・フェイスフルやアニタ・パレンバーグらが、リズムに合わせて「ウー・ウー!」という不穏なバックコーラス(野次馬のようなチャント)を即興で入れ始め、それがそのまま採用されることに。 アコースティックなフォーク曲が、ベースとパーカッション、そしてニッキー・ホプキンスの激しいピアノが暴れる唯一無二のロックへと生まれ変わっていく一部始終は、ジャン=リュック・ゴダール監督の映画『ワン・プラス・ワン』のドキュメンタリーにも生々しく記録されています。 |
| 💡 「Street Fighting Man」におけるアコギの爆音音響実験 6曲目の「Street Fighting Man」は、極めてヘビーで攻撃的なエレキギターの爆音ロックに聴こえますが、実は楽曲の核となるリズムは、ほぼアコースティック・ギターによって作られています。 キースは、1930年代製のギブソン製アコースティックギターをオープンチューニングにし、さらに別のナッシュビル・チューニングのアコギを重ねました。そして、その生ギターの音を、当時発売されたばかりの小型カセットテープレコーダー(フィリップス社製)のマイクの目の前でかき鳴らし、限界まで音量を過大入力(オーバーロード)させてわざと音を激しく歪ませたのです。 カセットの小さなスピーカーで歪んだローファイなアコギの音を、スタジオの大がかりなマルチトラック・レコーダーに移し替えてラウドに増幅する。さらにチャーリー・ワッツのドラムも、スタジオの巨大なキットではなく、同じくおもちゃのようなコンパクトなアンティークのトイ・ドラムキット(1930年代のトラベリング・コンガ)をカセットに過大入力して録音されました。この「おもちゃのような機材を限界まで歪ませて爆音を作る」というジミー・ミラーとキースによる前衛的な音響実験が、エレキギターでは絶対に作れない、あの原始的で凄まじい緊迫感を持ったストーンズ独自のドライヴ感を生み出したのです。 |
50th Anniversary Edition
オリジナル発売から50年を迎えた2018年、LP + 12インチ・シングル + ソノシートをセットしたアナログ盤と7インチ・サイズのジャケット・ヴァージョンのSACDハイブリッドが『Beggars Banquet: 50th Anniversary Edition』として発売されました。内容は以下の通りです。
アナログ盤
- アルバム本編はボブ・ラドウィグが新たにリマスター。それをアビイ・ロード・スタジオでラッカー盤にカットし、180g重量盤LPに収めています。12インチ・シングルには、ステレオ版とは大きく異なる「悪魔を憐れむ歌」のモノラル・ヴァージョンを収録。
- オリジナルの日本盤LPに付属していたレアなソノシート、 ““ハロー!ミック・ジャガーです” 1968年4月17日 ロンドン – 東京”も、ジャケットそのまま復刻。これは当時の日本の発売元であったキング・レコードがミック・ジャガーに電話インタビューしたもので、茶目っ気たっぷりのユニークなやり取りを聞くことができます。
- オリジナルLP発売当時、レコード会社から拒絶された“トイレの落書き”ジャケット(見開き/エッチング加工)、に、シンプルなオリジナルLPジャケットのスリップ・ケースを追加した豪華仕様。
- 直輸入盤仕様/完全限定盤
- 日本初回メ直盤LP帯を復刻
- インタヴュー大意/歌詞対訳付
SA-CD HYBRID(7インチ・サイズ・ヴァージョン)
- ボブ・ラドウィックによる最新リマスター・ステレオ音源をディスク1に配し、ディスク2には「悪魔を憐れむ歌」のモノ・ヴァージョンと日本初回メーカー直輸入盤LPのみに付属していたソノシートに収録されていたミック・ジャガーへの日本からの国際電話によるインタヴュー「ハロー! ミック・ジャガーです」をそれぞれハイブリッドSACDにまるまる収録。
- ソノシートも封入、メーカー直輸入盤帯のミニチュア復刻、「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」、「ストリート・ファイティング・マン」の日本初回盤シングルの意匠を再現したジャケットも封入!
- 日本初回メーカー直輸入盤LP帯をミニチュア復刻
- ハイブリッドSACD仕様
- ボブ・ラドウィックによる2018年最新リマスター音源
- 「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」「ストリート・ファイティング・マン」の日本初回盤シングルの意匠を再現したシングル付
- 歌詞対訳付/インタヴュー大意付