Aftermath (US)

Aftermath US
  1. Paint It, Black
  2. Stupid Girl
  3. Lady Jane
  4. Under My Thumb
  5. Doncha Bother Me
  6. Think
  7. Flight 505
  8. High And Dry
  9. It’s Not Easy
  10. I Am Waiting
  11. Going Home

Released: 1 July 1966
Producer: Andrew Loog Oldham

Additional Musicians:
Ian Stewart – Piano, Organ
Jack Nitzsche – Piano, Organ, Harpsichord, Percussion

1966年7月にリリースされた、アメリカにおける通算7枚目のアルバム『Aftermath (US)』。全曲オリジナルという記念碑的な挑戦はそのままに、本作は米国市場向けに4曲を削除し、代わりに世界的ヒットシングル「Paint It, Black」を加えた、アメリカ独自の編集盤です。英国盤から4曲を大胆にカットし、代わりに当時の世界的なメガヒットシングル「Paint It, Black」をオープニングへと配置。

ブライアンの多彩な楽器演奏がアルバム全体を鮮やかに彩る、バンドを次のサイケデリックな次元へと押し上げた、凝縮の全11曲を解説します。

黒い衝撃がさらに研ぎ澄まされた!全収録曲解説

  • Paint It, Black – 英国盤の「Mother’s Little Helper」に代わってアルバムの幕開けを飾る、英米ともに1位を獲得したロック史に残る超大名曲。ブライアンが導入したオリエンタルなシタールの音色と、タブラを思わせるチャーリーのドラミングが不穏な緊迫感を生み出すUS盤の絶対的な目玉トラック。
  • Stupid Girl – ミックの冷徹で辛辣な歌詞が物議を醸したガレージロックナンバー。イアン・スチュワートの無骨なピアノと、ジャック・ニッチェによるハネるオルガンが、彼らの持つパンキッシュな毒気を際立たせています。
  • Lady Jane – エリザベス朝の宮廷音楽を思わせる、哀愁漂う高貴なバロック・ポップ。キースの静かなギターに、ブライアンが奏でるアパラチアン・ダルシマーの古風で美しい音色が完璧なコントラストを描いています。
  • Under My Thumb – ストーンズの歴史において絶対に外せない、ライブでも定番の重要曲。ブライアンのマリンバによる不穏で軽快なメロディラインと、ビル・ワイマンによる歪んだファズベースが奇跡の融合を見せる初期の傑作。
  • Doncha Bother Me – アルバム全編がカラフルなポップ/サイケデリックへと向かう中、「泥臭いシカゴ・ブルース」を真っ向から鳴らしたヘビーなトラック。ブライアンによる強烈なボトルネック・スライドギターが絶品。
  • Think – 歪んだファズギターが全編を力強く牽引する、ガレージパンクの熱量を持ったパワフルなナンバー。ソリッドなビートとキャッチーなメロディが融合した、非常にダンサブルな構成。
  • Flight 505 – 飛行機事故を皮肉った、彼ららしいブラックユーモア溢れるアップテンポなロックンロール。イントロでイアン・スチュワートが「Satisfaction」を思わせるピアノフレーズ弾いているニヤリとする演出も。
  • High And Dry – キースが弾く軽快な12弦アコースティックギターをベースにした、ストーンズ流のカントリー・ブルース。ミックの吹く泥臭いハーモニカが、アメリカ南部のアウトローな雰囲気を醸し出しています。
  • It’s Not Easy – 疾走感のあるビートと、初期を彷彿とさせる骨太なギターリフが心地よいストレートなR&Bロック。キースとビルの力強いバックコーラスが、曲のドライブ感をさらに加速させています。
  • I Am Waiting – フォークロックとサイケデリックが融合した、ストーンズとしては珍しい神秘的でメランコリックな名曲。静かなパートとサビの激しいバーストの対比が素晴らしく、ブライアンの弾くダルシマーが不思議な浮遊感を演出しています。
  • Going Home – 当時のロック界の常識を覆した、11分13秒にも及ぶ超大作ロング・ジャムセッションが、このUS盤でもラストを締めくくります。RCAスタジオのリラックスした空気の中、ミックの即興ボーカルとメンバーの熱いアドリブ演奏がそのままパッケージされています。
💡 なぜアメリカ盤は『Paint It, Black』から始まるのか?

アメリカ盤『Aftermath』最大の特徴は、英国盤には収録されていない「Paint It, Black」がアルバムの冒頭を飾っていることです。当時のアメリカでは、ヒットシングルをアルバムに収録するのが一般的でした。そこでロンドン・レコードは、全英・全米1位を獲得した最新シングル「Paint It, Black」を追加し、その代わりに「Mother’s Little Helper」「Out Of Time」「Take It Or Leave It」「What To Do」の4曲を外しました。

この編集によって、英国盤がじっくり聴かせる作品だったのに対し、アメリカ盤は冒頭から強烈なインパクトで押し切る、よりロック色の濃いアルバムへと生まれ変わっています。同じ『Aftermath』なのに、UK盤とUS盤ではまるで別のアルバムを聴いているような印象になるのが面白いです。