12 X 5

  1. Around And Around
  2. Confessin’ The Blues
  3. Empty Heart
  4. Time Is On My Side
  5. Good Times, Bad Times
  6. It’s All Over Now
  7. 2120 South Michigan Avenue
  8. Under The Boardwalk
  9. Congratulations
  10. Grown Up Wrong
  11. If You Need Me
  12. Susie Q

Producer: Andrew Loog Oldham

Additional Musician:
Ian Stewart – Organ, Piano

1964年10月にリリースされた、ストーンズの米国でのセカンドアルバム『12 X 5(トゥエルヴ・バイ・ファイヴ)』。タイトルは「12曲を5人で演奏する」という意味を込めたものとされる本作は、英国盤EP『Five by Five』の収録曲をベースに、当時のヒットシングルを追加してスケールアップさせたUS盤独自の編集アルバムです。

本作の最大のトピックは、ブルースの聖地シカゴの「チェス・スタジオ」でレコーディングが行われたこと。本物のブルースマンたちが名演を残したその場所で、若きストーンズが放った黒く瑞々しいグルーヴが全編に溢れています。オリジナル曲も3曲に増え、ジャガー/リチャーズとナンカー・フェルジ名義による自作曲が存在感を増しています。

聖地の熱気が宿る!全収録曲解説

アルバム全12曲のカバーとオリジナル曲の背景を解説します。

  • Around And Around – チャック・ベリーのノリの良いロックンロールをカバーし、ライブでも定番となったアルバムの幕開けに相応しい疾走ナンバー。
  • Confessin’ The Blues – ジェイ・マクシャンとウォーター・ブラウンによるジャズ・ブルースを、骨太なブルース・ロックへ見事にビルドアップ。
  • Empty Heart – クレジットは「ナンカー・フェルジ(バンド全員の共作名義)」。スタジオでの即興ジャムから生まれた初期ストーンズらしいガレージロック。
  • Time Is On My Side – ストーンズ初のアメリカトップ10入りを果たした歴史的名曲。本作には英国盤『The Rolling Stones No.2』に収録されたギターイントロ版ではなく、貴重な「オルガン・イントロ版」が収録されているのが最大のマニアポイント。
  • Good Times, Bad Times – ジャガー/リチャーズ作のアコースティックなオリジナル曲。彼らが敬愛するカントリー・ブルースへの憧れがストレートに表現された隠れた名曲。
  • It’s All Over Now – ヴァレンティノス(ボビー・ウーマック作)のカバー。ストーンズにとって初の全英1位を獲得したシングルで、キースとブライアンのツインギターの絡みが絶品。
  • 2120 South Michigan Avenue – タイトルはそのまま録音場所であるシカゴ「チェス・スタジオ」の住所。マディ・ウォーターズらに捧げられた、泥臭くも圧倒的にかっこいいインスト・ブルースジャム。
  • Under The Boardwalk – ドリフターズの名曲をカバー。ミックの甘いボーカルとコーラスワークが、彼らの持つポップセンスを証明しているトラック。
  • Congratulations – ジャガー/リチャーズ作。メランコリックで叙情的なメロディが光る初期のオリジナル・バラードで、アメリカ盤シングル「Time Is On My Side」のB面曲。
  • Grown Up Wrong – ジャガー/リチャーズ作のオリジナル。デルタ・ブルース風の泥臭いスライドギターと、激しいハンドクラップが融合した荒々しいナンバー。
  • If You Need Me – ウィルソン・ピケットやソロモン・バークで知られるソウルフルなバラード。ミックの中盤の語り(セリフ)も含めて、ディープ・ソウルへの敬意が詰まったカバー。
  • Suzie Q – デイル・ホーキンスのロカビリー・ブルースをカバー。アルバムのラストを締めくくるにふさわしい、ミニマルで呪術的なギターリフが強烈な印象を残す一曲。
💡「Time Is On My Side」2つのバージョン違い

アイマ・トーマスのカバーであるこの名曲には、2つの主要なテイクが存在します。

【オルガン・イントロ版】(本作『12 X 5』収録)
イアン・スチュワートのオルガンで始まる1964年9月録音の初版。ギター・イントロ版とは異なる雰囲気を楽しめる、US盤ならではの貴重なテイクです。

【ギター・イントロ版】(英国盤『No.2』等に収録)
1964年11月に再録音された、キースのギターリフで始まるテイク。テンポを落とし、ミックのふてぶてしくセクシーなボーカルが「ストーンズ節」を確立しています。

米国でのヒット(最高6位)の立役者は、この『12 X 5』に収録された「オルガン版(初期テイク)」です。ギター版よりソウルフルでポップな手触りを楽しめる、US盤ならではのトラックと言えます。