ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロニー・ウッドの3人が2026年8月に、アメリカの映像制作会社 101 Studios との間で、バンドの伝記映画に関する契約を結んだことが明らかになりました。101 Studiosは『イエローストーン』『ランドマン』『ザ・エージェンシー』といった骨太な人気テレビドラマを手がけていることで知られるプロダクションです。< SOURCES: The Sun / The Telegraph / Noise11 >
今回の合意によりプロジェクトに正式な制作の枠組みが与えられましたが、現時点で公開日、監督、脚本、キャスト、撮影開始の具体的な予定は提示されていません。
関係者は英「ザ・サン」紙に対し、現在の状況を次のように語っています。「ローリング・ストーンズの物語がついに映画化されます。101スタジオズのこれまでの仕事をバンドは気に入っていて、任せて安心だと思っています。まだ始まったばかりですが、契約はすでに済んでいます。キャスティングはまだ始まっていません。映画の雰囲気や描く物語については、今まさに詰めているところです。」
ミック・ジャガーが求めるキャスティングと構成
ミック・ジャガーは以前から伝記映画のビジョンについて深く考えており、インタビューで具体的な要望を明かしています。
- 20代の無名俳優を希望: ミックは、バンドが頭角を現し始めた19〜20歳当時の姿をスクリーンに再現したいと考えています。よくある「32歳の俳優が19歳の役を演じる」といったハリウッド的なキャスティングを嫌い、実際に20代の俳優であることを条件に挙げています。また、すでに知名度のある大スター(かつて噂に挙がったハリー・スタイルズなど)ではなく、ショービジネスの世界に飛び込むエネルギーと無垢さを併せ持った、これから有名になる段階の無名の俳優を求めています。
- 特定の期間に焦点を当てるアプローチ: 60年以上に及ぶ長いキャリアを、1本の映画ですべて描くのではなく、特定の重要な期間に焦点を当てるアプローチが考えられます。ボブ・ディランの映画(『A Complete Unknown』)や、自身がプロデュースしたジェームス・ブラウンの映画(『Get On Up』)を例に挙げ、バンドの歴史における特定の重要な期間を切り取る構成が望ましいと言及しています。
ライバルであるビートルズの動向
今回のストーンズの動きは、長年のライバルであるビートルズの大型映画プロジェクトとも無関係ではなさそうです。
ビートルズの伝記映画は、サム・メンデス監督が率いる全4本の独立した映画(各メンバーの視点から描く作品群)として、2028年の公開に向けて制作が進んでいます。ジョン・レノン役をハリス・ディキンソン、ポール・マッカートニー役をポール・メスカル、ジョージ・ハリスン役をジョセフ・クイン、リンゴ・スター役をバリー・コーガンが演じることが決定しています。
テレグラフ紙が予想するキャスティング
英「ザ・テレグラフ」紙は、ミックの「初期の時代を描きたい」という意向を踏まえ、バンド創設時のオリジナル・メンバー5人を演じるイギリス人俳優のキャスティング予想を展開しています。
※ロニー・ウッドは1975年の加入であるため、初期を描く場合は対象外となります。あくまでテレグラフ紙によるキャスティング予想です。
- ミック・ジャガー:トム・ブライス(Tom Blyth)
『ハンガー・ゲーム0』の主演。ミックのような激しい身のこなしや唇のすぼめ方、ステージでの圧倒的な存在感を表現できる実力を持つ。 - キース・リチャーズ:フィオン・ホワイトヘッド(Fionn Whitehead)
『ダンケルク』の主演。独特のいたずらっぽい笑みや、不敵なアウトロー(海賊)のような雰囲気を醸し出せる - ブライアン・ジョーンズ:トム・グリン=カーニー(Tom Glynn-Carney)
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の若き王役。ブライアンが持っていたクールさと、悲劇的な死へ向かうダークな側面の双方を演じ分けられる激しさ(intensity)がある。 - チャーリー・ワッツ:フィン・コール(Finn Cole)
『ピーキー・ブラインダーズ』。狂騒の周囲から一歩引いた、冷静でダンディなチャーリーのカリスマ性を表現するのに適した顔立ちと才能を持つ。 - ビル・ワイマン:アレックス・ローサー(Alex Lawther)
『イミテーション・ゲーム』『エイリアン:アース』。実年齢より落ち着いた雰囲気があり、寡黙で理知的なベースプレイヤーを演じる幅を持っている。
映画のハイライトはどの時代になるか(考察)
初期のロンドン・ブルースシーンからの台頭や、バンドとしてのアイデンティティの形成が描かれるのは伝記映画として当然の前提となります。その上で、映画全体のクライマックス、あるいはドラマの「メインのハイライト」としてどの時代に焦点を当てるのかが、今後の大きな見どころです。
物語の劇的な展開やロック史としての重要性を考えると、以下の2つの時代がハイライトの有力候補として浮かび上がります。
1. バンドの絶頂期と時代の熱狂:1972年〜1973年
『メイン・ストリートのならず者』で頂点を極めたストーンズが、1972年の伝説的な北米ツアー、そして1973年のヨーロッパツアーへと突き進んでいく「黄金時代」です。
南フランスでのデカダンなレコーディング、アメリカを熱狂させたステージ、そして激動の時代の空気感。音楽的なピークとバンドを取り巻く狂騒を映画のハイライトとしてスクリーンに焼き付けるだけで、ロック映画としてこれ以上ない最高傑作になることは間違いありません。
2. 最大の危機と転換期:1970年代後半(トロント事件前後)
もう一つの強力な候補は、バンドの存続そのものが揺らいだ1970年代後半をクライマックスに据える構成です。
象徴的なのは1977年、キースがトロントで逮捕され、終身刑の可能性すら囁かれた一連の危機です。バンド崩壊の瀬戸際に直面する中でのメンバー間の葛藤と絆、そこから『女たち(Some Girls)』のリリースによって見事な復活を遂げるまでのドラマは、映画的なサスペンスとカタルシスに満ちています。
これらの時期の巨大なドラマを映画の核としてどう配置するのか、101 Studiosとメンバーが下すクリエイティブな決断に注目が集まります。
