『Hackney Diamonds』に続き『Foreign Tongues』のプロデュースを務めているアンドリュー・ワット。その少しずつ公開される情報の点と点を繋ぎ合わせると、ある一つの恐るべき仮説が浮かび上がってきます。そう、すべての黒幕はアンドリュー・ワットではないか?
(※以下、仮説です。筆者の想像も多分に含まれています。)
1.「時の人」ロバート・スミスを巻き込む巧妙な出来レース
巷では「偶然廊下で会った」と語られるロバート・スミス(ザ・キュアー)の参加劇ですが、その実態はアンドリューによる緻密なブッキングだったという仮説。
- 完璧なタイミングでの拉致:
ロバート・スミスはキュアー16年ぶりのアルバム『Songs of a Lost World』で世界的大絶賛を浴び、さらにオリヴィア・ロドリゴとのコラボで若い世代からも神格化される「今、最も尖った時の人」。アンドリューはこの話題性を見逃さず、ストーンズの歌入れ日にピンポイントで彼をスタジオに呼び出しました。 - 手ぶらのレジェンドと「鎧」のメイク:
「ただビールを飲みに来た」ロバートは完全に手ぶらでした。しかし、プライベートの飲み会であるにもかかわらず、自身のアイデンティティである「バッチリのフルメイクと長いガウン姿」で登場。お酒が進みリップを顔中に滲ませた姿で、ミック・ジャガーと衝撃の初対面を果たしました。 - 機材オタクの化学反応:
一度はオファーを断ったロバートですが、ミックの帰宅後にアンドリューの狂気的なヴィンテージ・コレクションからギターとエフェクター(空間系ペダル)を拝借。「Divine Intervention」のサビ(コーラス部分)の背後で鳴る、あのきらびやかで冷たい「高音部のアルペジオ」を刻み込み、ストーンズの泥臭いロックンロールにキュアー流のゴシックな世界観を加えました。
2. メディアとファンを同時に取り込む「カバー曲」の二段構え
アルバムの曲構成にも、アンドリューのマーケティング戦略が光っていたとする仮説。
- エイミー・ワインハウスのカバー:
ロンドンのストリートカルチャーの文脈を回収しつつ、「夭折した天才へのオマージュ」を実現し、ストーンズを現代の音楽シーンの主役に据えました。 - ラストのチャック・ベリーのカバー:
ストーンズがデビュー前から演奏していたチャック・ベリーの曲でアルバムを締めくくることで、「いつでも美しい円(サークル)が閉じる(これが最後になってもいい)」という、古参ファンが泣いて喜ぶストーリーを演出。同時に、チャックを愛するキースの自尊心を完璧に満たしました。
3. 視覚をも支配するトータル・プロデュース
デジタルや現代アートを効果的に使い、2026年の最先端ヴィジュアルを構築したとする仮説。
- グロテスクな現代美術のジャケット:
前作の王道ロック路線を捨て、スマホ画面で一瞬指が止まるような「違和感」を演出し、SNSでのバズを誘発。バンドの持つ「危険なエッジ」をアピールしました。 - AIによるメンバー若返りのMV:
現在最も議論を呼ぶAI技術をあえてパロディとして使い、オールドファンには「70年代の黄金期」のノスタルジーを、若い世代には「TikTokで拡散しやすい奇妙な映像」を提供するという、完璧な全世代網羅戦略です。
結論:私たちはアンドリューの台本(シナリオ)の上にいる
ミック・ジャガーには「遺産を世界で一番高く売ってくれる男」として、キース・リチャーズには「ブルースの魂を誰よりも理解し最高の機材をくれるツレ」として懐に潜り込む。音楽制作から、機材の選定、ジャケット、MV、そして「スタジオでの偶然のハプニング」というロックの神話の演出にいたるまで、すべてはアンドリュー・ワットという映画監督が描いた絵コンテ通り。彼はストーンズの歴史を汚さずに2026年にアップデートした、まさに「恐ろしい男」だという仮説です。
自分でも「それは考え過ぎでは?」という部分もありますが、「もしかして?」と思ったことをつらつらと書いてみました。軽い気持ちで読んでくださればと思います。
私はストーンズには、このアンドリュー・ワットのような頼もしい戦略家、プロデューサーが必要だと思っています。そしておそらくストーンズはもう1枚アンドリューと組み、「三部作」を完成させるのでは…?アンドリューと組んでいた時期のストーンズの作品は間違いなく後世に残るはずです。期待しています。
