ミック、「You’re So Vain」を語る

The Interview

米ニューヨーク・タイムズ紙のポッドキャスト番組『The Interview』が、2026年7月11日に最新エピソードを公開しました。ゲストに登場したのはローリング・ストーンズのミック・ジャガー。数々の貴重なエピソードが飛び出す中、特に注目したいのが、カーリー・サイモンが1972年11月にリリースした不朽の名曲「うつろな愛(You’re So Vain)」に関する裏話です。シニア・ライターのデヴィッド・マルケジーによる鋭いインタビューの中で、ミックは当時クレジットなしで参加した伝説のバックボーカルの思い出や、長年囁かれていた「あの噂」の真相について、ユーモアたっぷりに語っています。

デヴィッド・マルケジー(以下、インタビュアー):
あなたがカーリー・サイモンの「You’re So Vain(うつろな愛)」でバックボーカルを務めた件について、本人がコメントした記録がどこにも見当たらないのですが。

ミック:
そうだね、私も見たことがない。でも、確かにスタジオで歌ったことは覚えているよ。

インタビュアー:
「あの曲はミック・ジャガーのことを歌っている」という世間の噂には、いつ頃気づいたのですか?

ミック:
自分が参加しているのに、なぜ私の曲になるんだい? 理屈に合わないけれど、みんなそう思ったんだよね。でも彼女は絶対に誰の曲か明かさなかったから、大騒ぎになった。彼女に誰のことなのか聞こうとも思わなかった。本当に思いもしなかったよ。ただの1つの曲だったし、良いタイトルだなと思っただけさ。本当にただの曲だよ。

私はただのバックボーカリストだった。当時はプロデューサーのリチャード・ペリーと知り合いで、ロンドンにいた彼から「バックボーカルをやってくれないか?」と電話をもらったんだ。私はそういう、ゲスト参加のような仕事をするのが大好きで、特に相手が女性シンガーで、自分が男性の声を添えるというのはね、意味が分かるだろう? 男性同士でやるのとは少し違って良いものなんだ。まあ、男相手でも気にせずやるけれどね。だから、ただスタジオに行って歌ったのさ。

素晴らしい曲だし、彼女にとって大ヒットになって良かったよ。当時はクレジットされなかったけれど、今なら「Carly Simon featuring Mick Jagger」になっていただろうね。サビなんて、彼女の声より私の声の方が大きく聴こえるくらいだよ。

1972年のリリースから半世紀以上が経った今もなお、洋楽史のミステリーとして愛され続ける「You’re So Vain(うつろな愛)」。ミック自身の口から語られた「ただの素晴らしい曲だったから、スタジオに行って歌っただけ」という軽やかで純粋なエピソードは、当時のロックシーンの自由な空気感と、彼の音楽に対するフラットな情熱を改めて感じさせてくれる貴重な証言となりました。

【追記:実は2015年に「モデル」が判明していた!】
長年、洋楽界最大のミステリーとされてきた「この曲のモデルは誰か」という謎ですが、実は2015年にカーリー・サイモン自身が自伝の中で真相を明かしています。彼女の告白によると、モデルは特定の1人ではなく「3人の男性の複合体」とのこと。そのうちの1人は、当時交際していた大物俳優のウォーレン・ベイティであることを本人が認めています。残りの2人については現在も実名が伏せられたままですが、ミックがインタビューで語った通り、やはり「ミック自身のことではなかった」という事実が、半世紀を経て改めて本人の口からも証明された形となりました。

最後に、2022年の『ロックの殿堂』式典にて、オリヴィア・ロドリゴがカーリー・サイモンへ敬意を称して披露した「You’re So Vain」の圧巻のカバーパフォーマンス映像をお届けします。