『Foreign Tongues』の全曲解説を目指す

Foreign Tongues TrackXTrack

日本時間の2026年5月6日午前1時(イギリスでは5月6日午後5時)に発表されたローリング・ストーンズの新作アルバム『Foreign Tongues』。すでに予約販売も始まっていますが、その収録曲の詳細は情報が小出しに提供されている状況です。ここではその情報を整理し、まとめていこうと考えています。新しい情報が入り次第、更新を行っていく予定です。

アルバムは全14曲を収録し、2026年7月10日に発売されます。プロデューサーは前作『Hackney Diamonds』同様アンドリュー・ワットが務め、ダリル・ジョーンズ、マット・クリフォード、スティーヴ・ジョーダンといったツアーの主要メンバーに加え、スティーヴ・ウィンウッド、ポール・マッカートニー、ロバート・スミス、チャド・スミスといった豪華ゲスト陣も参加しています。

レコーディングはロンドンのかつての発電所跡地を利用したメトロポリス・スタジオを使ってわずか4週間でまとめ上げたそうです。ミックはスタジオについてこう語りました。「今回の部屋でレコーディングしたのは初めてだった。かなり狭かった。十分な広さではあるが、巨大ではなかった。視線を動かさなくても、みんなが見えるんだ。誰が何をしているのか、誰が何を考えているかがはっきりと分かった。あの部屋は私たちにとって本当にうまくいった。音響も本当に良かった。」

Foreign Tongues Silver

1. Rough And Twisted – 4:40

2026年4月11日に、かつてバンドがシークレット・ギグなどで使用していた変名「ザ・コックローチズ(The Cockroaches)」名義で、1,000枚限定の12インチ・ホワイト・レーベル・アナログ盤として先行リリースされた曲です。5月5日にアルバムのリード・シングル「In the Stars」と共にデジタル配信が始まりました。歪んだギター・リフが特徴的なダーティ・ブルース・ロック調の楽曲で、歌詞には「Rough and twisted road(荒れてねじれた道)」をガイドして欲しいと願う内容や、プエルトリコ、ミシシッピ、シチリア、ローマといった地名が登場します。フェイセズの曲「Stay with Me」で使ったのと同じゼマティスのギターを使用したロニー・ウッドのスライド・ギターがフィーチャーされています。

6月5日、Official Visualiser が公開されました。

Mick Jagger: Vocals, Harmonica, Background Vocals, Electric Guitar
Keith Richards: Electric Guitar
Ronnie Wood: Electric Guitar, Electric Bass
Steve Jordan: Drums
Ben Waters: Piano
James King: Tenor Saxophone
Matt Clifford: Piano, Organ
Andrew Watt: Background Vocals, Electric Guitar

2. In The Stars – 4:13

アルバムのリード・シングル。5月5日にデジタル配信が開始され、5月15日には「Rough And Twisted」とカップリングでフィジカル盤(CD シングル、7インチと10インチのアナログ・シングル)がリリースされました。ストーンズらしいキレのあるギター・リフを特徴としながらも、コーラス(サビ)の展開が印象的な曲です。「It’s in the stars, it’s our destiny(それは星に記されている、僕らの運命なんだ)」というフレーズに象徴されるように、世界の不確かさの中で、自分たちのつながりや道筋を信じる前向きなメッセージが込められています。フィジカル・リリースの前日(5月14日)に公開されたミュージック・ビデオは、女優オデッサ・アザイオンをフィーチャーし、アメリカのVFX/AIスタジオ「Deep Voodoo」のディープフェイク技術を用いて制作されました。1970年代の頃に若返ったミック、キース、ロニーの演奏シーンは物議を呼んでいます。

Mick Jagger: Vocals, Backing Vocals, Electric Guitar, Acoustic Guitar
Keith Richards: Electric Guitar, Backing Vocals
Ronnie Wood: Electric Guitar, Electric Bass
Steve Jordan: Drums
Benmont Tench: Organ
Matt Clifford: Piano
Andrew Watt: Electric Guitar, Backing Vocals, Percussion

In The Stars

3. Jealous Lover – 3:50

6月14日、ローリング・ストーンズはシングル「Jealous Lover」(ワーキング・タイトル「Fuck ur Pizza」)を6月26日にリリースすることを発表しました。公開された44秒のビデオにはゲストのスティーヴ・ウィンウッドがエレクトリック・ピアノ(フェンダー・ローズ)を弾くシーンを見ることができます。長い歴史の中で、ストーンズ名義のオリジナル・アルバムにウィンウッドがクレジットされるのは今回が初めてです。かつてエリック・クラプトンらとブラインド・フェイスを結成し、ブリティッシュ・ロックの黄金期を築いた天才鍵盤奏者が、ついにストーンズの歴史にその名を刻みます。

スタジオには他にスティーヴ・ジョーダン、マット・クリフォード、ダリル・ジョーンズの姿を確認できます。

カーティス・メイフィールドの伝統を受け継ぐファルセット・ソウルであり、ストーンズの 1976 年のヒット曲「Fool to Cry」を彷彿とさせる、優しくゆったりとした曲になっているらしいです。(Times)

Ultimate Classic Rock によればスティーヴ・ウィンウッドは以下のように発言しています。

「最初は1曲だけ演奏してほしいと言われたが、その後『他にも2、3曲やれるものがあるよ』と言われ、さらに数曲録音すると『来週も来て、もっとやってくれ』と言われたんだ。」スティーヴが『フォーリン・タングス』に何曲参加しているかは現時点では明らかにされていません。「彼らのやるものすべてに、素晴らしいヴィンテージ・ストーンズの雰囲気が詰まっている。アルバムの多くは全員が一緒に演奏して制作されており、これは昨今では珍しいことだが、そこに魔法のような魅力と独特の趣が加わっているんだ。」

なお、この曲では、アンドリュー・ワットは当初ミックがピアノを弾けばいいと提案したが、ミックは歌いながらでは無理と判断。そこで「ソウル・ピアノが上手いのは誰だろう?」と考えたとき、スティーヴ・ウィンウッドのことが頭に浮かんだとのことです。

Mick Jagger: Vocals, Background Vocals, Percussion, Acoustic Guitar, Electric Guitar
Keith Richards: Electric Guitar
Ronnie Wood: Electric Guitar
Steve Jordan: Drums
Andrew Watt: Synthesizers, Background Vocals
Darryl Jones: Bass
Robert Smith: Electric Guitar
Steve Winwood: Piano, Organ
James King: Tenor Saxophone, Alto Saxophone
Ron Blake: Trumpet

4. Mr. Charm – 4:34

ミックはBBC Radio 2 の「Tracks of My Years」でこの曲に関して以下の様に語っています。

「この曲は “Four on the Floor”(4つ打ち)なんだ。踊れる曲だけど、中盤にはロックなコーラスが入っている。だから、みんなが知っているロックバンドとしてのストーンズらしさも大いにあるんだけど、4つ打ちの要素に関しては、もしかしたらこれまでに聴いたことがないタイプのローリング・ストーンズに聴こえるかもしれないね。それでもやっぱりストーンズなんだよ。」

「曲を作り始めた時、ただただ、そのヴァースの部分をラップしてたんだけど、そこで “Mr. Charm” というフレーズを何度繰り返しても全然飽きないって気づいたんだ。それがすごく面白くて、そこから他にもいろんなユーモラスなネタが次々と浮かんでくるようになったんだ。」

歌詞に世界初の兆万長者(トリリオネア)イーロン・マスクの名が登場します。愛する相手に自分の魅力を必死にアピールするミックが、「狂気の富豪、マスク氏」と宇宙へ飛び立つよりも、自分と過ごす夜の方が断然良いと歌っているそうです。(Times)

5. Divine Intervention – 4:46

億万長者たちが「空の隠れ家へ逃げ込む」一方で、他の人々はサッカー観戦をしながら何事もなかったかのように日常を続けるという世界の終末を描写するキャッチーなロックナンバー。プロデューサーのアンドリュー・ワットは、ストーンズがレコーディングを行っていたチズウィックのメトロポリス・スタジオにザ・キュアーのリーダーであるスミスを招き、ミックは67歳のスミスにギターを少し弾いてほしいと突然頼んだそうです。(Times)

ロバート・スミスはこの曲でギターを弾いています。(Mojo)

6. Ringing Hollow – 5:18

「ドレスに破れ目があると、自由の女神はあまり美しく見えない」と歌われる甘いカントリー・バラード。ありきたりなラブソングのように見せかけ、よく聴くと、実はアメリカという概念へのラブレターであり、アメリカがどうなってしまったのかを嘆く歌だと気づく内容だとのこと。(Times)

7. Never Wanna Lose You – 4:31

ロバート・スミスはこの曲にシンセサイザーとバッキング・ボーカルで参加しています。(Mojo)

Rolling Stone Magazine はこの曲を「ディスコ風の切ない失恋ソング(disco heartbreakers)」と評しています。アルバム全体のストーンズらしい安心感のあるサウンドの中で、良いアクセントになっていることが窺えます。(Rolling Stone)

8. Hit Me In The Head – 2:57

チャーリー・ワッツがドラムを叩く2019年のLAセッションで録音された曲。ミック曰く「すごく速い、パンク・ロック・ナンバー」だということです。

9. You Know I’m No Good – 4:54

エイミー・ワインハウスのカヴァー曲。ワインハウスのバージョンは2枚目で最後のスタジオアルバム『Back to Black』に収録されていて、ドラムとベースが心地よく響く、ダークでジャジーなソウルミュージックでした。

このカヴァーでは、ミックはハーモニカのソロで全力を出し、スティーヴ・ジョーダンはアルバム中で最もパワフルな演奏を披露、ブラスセクションがジャジーなタッチを加えているそうです。(Times)

10. Some Of Us – 4:01

キースがリード・ボーカルを担当する曲です。showbiz411 によれば、この曲はDirty Work Sesssionで録音された「Some Of Us Are On Our Knees」を新たにアレンジしたもので、ミックとキースが「Memory Motel」以来となる本格的なデュエットを聴かせるとのことです。デモ音源の「Some Of Us Are On Our Knees」は以下で聴くことができます。

11. Covered In You – 4:32

Mojo や BBC Radio 2 のインタビューで、ポール・マッカートニーはこの曲でベース・ギターを担当したことを明らかにしました。ポールがストーンズの曲でベースを弾くのは、『Hackney Diamonds』の「Bite My Head Off」に続いて2曲目です。ポールは「スタジオでの一日の後、人々は『どうだった?』と聞きました。とても素晴らしかったです。だって、俺はストーンズのセッションマンだったんだ。」と語っています。

なお、ミックがBBC Radio 2 の「Tracks of My Years」で語ったことによれば、この曲は「ファンク・ベースに近い曲」だとのことです。

12. Side Effects – 4:35

この曲は女性への依存的な渇望を「ドラッグの離脱症状(フラッシュバック、寝汗、気分の乱高下)」になぞらえた内容です。ミックが「静脈に入れるものすべてに代償が伴う」「タバコを辞めるよりキツい!」と絶叫する、1966年の名曲「マザーズ・リトル・ヘルパー」以来の薬物の危険性やリスクを彷彿とさせるテーマだとのことです。(Times)

13. Back In Your Life – 6:13

このアルバムで最も長い曲。ロニーはギター・ソロをブライアン・ウィルソンが亡くなった日に弾いたと語っています。その数日前にスライ・ストーンが亡くなったこともあり、悲しみが自身のギタープレイや感情に深く影響を与えたと心情を吐露しています。レコーディングでは9分にもなったソロを短く編集しているとのことです。

14. Beautiful Delilah – 3:29

チャック・ベリーのカヴァー曲。ミックとキースはストーンズ結成前の Little Boy Blue and the Blue Boys の頃からこの曲を演奏していました。ストーンズの64年の初期バージョンはBBC音源を集めたアルバム『On Air』に収録されています。

アコースティックなアレンジで演奏されるこの曲で、リズムを刻んでいるのはレッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミスです。(Telegraph)

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